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企業法務コラム

経営法務コラム

相談事例新型コロナウイルス感染症による小学校の休校と休暇

ご相談者
企業形態株式会社
役職労務担当役員
事例の分類

経営法務

ご相談内容

会社の役員の方から「従業員から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で小学校が休校になったため、子どもの世話をするために休暇を取得したいと言われました。どのように対応すれば良いでしょうか。」という質問を受けました。

弁護士の回答

新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、多くの地域で、臨時的な休校措置が取られています。
厚生労働省の調査によると令和2年4月10日時点で新学期の教育活動を開始した小学校は33%、緊急事態宣言の対象地域である7都府県(当時。4月16日に対象地域は全国に拡大した。)の小学校では0%となっています。

従業員が子どもの世話をするために休暇を取得する場合、会社としての対応は以下の通りとなります。 

  • 就業規則等に、子どもの世話をするための特別休暇について定めがあれば、その定めによります。原則無給となりますが、就業規則等に特別休暇を取得した場合の給与・手当に関する定めがあればそれに従うことになります。
  • 労働基準法、就業規則等の定めにより、従業員が有給休暇を取得できる場合には、従業員に有給休暇を取得するつもりがあるか確認して下さい。取得の申し出があれば、有給休暇を与えることになります。
  • 子どもの世話をするための特別休暇の定めがなく、従業員が有給休の取得を希望しない場合には、欠勤となります。欠勤日は無給となります。

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に関する対応として小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるを得ない保護者である労働者を支援する助成金を創設しています。 
労働者に有給(賃金全額支給)の休暇を与えた事業主に対して、休暇中に支払った賃金相当額の10分の10(但し、8,330円を日額上限とする。)を支給するものです。

また、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策として、子どもが通う小学校等の臨時休業に伴う特別休暇制度を整備するための経費の一部を支給する助成金を創設しています。
就業規則等の作成・変更、外部専門家によるコンサルティングなどの経費の一部が助成されます。

お子さんの通う小学校、幼稚園・保育所等が臨時休校・休園になったとき、子どもを家に残して仕事に出かけることができない従業員も多いことでしょう。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う小学校等の休校・休園は従業員にとって避けられない事態であり、休校・休園期間が相当長期に及んでいます。
使用者として、助成金等も利用しつつ、有給の特別休暇を設けることも、一つの経営判断と考えます。

有給の特別休暇を導入するにあたっては、従業員の間で不公平感が生じたり、就労に対するモチベーションが下がったりしないように、従業員に説明をして意見を聞き、理解を得たうえで、使用者にとって過度に負担をかけるものでなく、従業員の賛同も得られる内容の休暇制度にするよう留意して下さい。
また、就業規則の作成・変更する場合には、特別休暇制度の内容がきちんと反映されるように留意して下さい。 。

さくら総合法律事務所では新型コロナウイルス感染症に関する相談にも対応しております。
ご心配ごとがありましたら、さくら総合法律事務所までご相談下さい。

この記事は令和2年5月9日現在の情報に基づく作成しています。

実際の事例を題材としておりますが、個人情報保護の観点から変更を加えている場合があります。

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