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日本相続学会東海ブロックオープンセミナー「なぜ相続が争族になるのか?」開催報告

2017年9月28日(木)開催の一般社団法人日本相続学会東海ブロックオープンセミナーでは、行動経済学の研究をされている上智大学経済学部の川西諭先生が、なぜ相続が争続になるのか?という興味深いテーマをもとに貴重な講演をしてくださいました。

行動経済学とは?

みなさんは、行動経済学をご存じですか?
言葉だけを見ると難しそうに思いますが、行動経済学というのは経済学と心理学を組み合わせたようなものです。
これらの2つの視点から、人間の心理的行動と社会の動向との関係を考えていくもので、意外にも身近な出来事と繋がりがあります。

相続と行動経済学との関係

相続は関係ないから大丈夫、家族みんな仲良しだから心配ない、と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
相続は人生において頻繁に経験することではありませんが、多くの人が経験する可能性があります。
しかし、その相続が争続になってしまうことがあるのです。

争続になる原因の一つとして、「高すぎる参照基準点」があると先生はおっしゃっていました。
自分は親の介護をした、一緒に住んで面倒をみてきた、だからこれぐらいは貰えるだろうという価格を決めつけていた場合に、その価格を下回ると不満や憤り、怒りなどが生じることで争いが始まります。

「参照基準点」は誰しも日常生活で知らないうちに付けているのかもしれません。
例えば、AさんがBさんとCさんにお茶を入れました。
Bさんは「これだけ入っていれば充分」と思い、Cさんは「これだけしか入ってないのか、少ないな」と思います。
お茶の量ひとつを取ってもBさんとCさんの捉え方が違います。

この捉え方の違いが、参照基準点でありそれが高いか低いかは人それぞれで、価値観にも似たようなものだと思います。

まとめ

参照基準点が高い方が良いのか、低い方が良いのかは人それぞれの考え方があると思います。
しかし、不満や怒りを持たずに穏やかに幸せな人生を歩んでいけるのは後者なのかなと思いました。
「大切なものは目に見えない」と言われているように、実家に何年も帰ってない、親族と前に会ったのはいつだろう、など親族との関係が薄れてきているのが現状だと思います。
核家族化という社会問題も関係してくるのかもしれません。
相続が争続にならないためにも、目には見え辛いものを見るようにして大切にしていかなければいけないですね。

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