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確定拠出年金コラム

相談事例iDeCoを65歳までのつなぎ年金としたいのですが注意点はありますか?

ご相談者
年齢 52歳
職業 会社員
性別 男性
家族構成

妻と子ども一人(今年から就職)

事例の分類 個人型確定拠出年金(iDeCo)

相談しようと思ったきっかけ

52歳になり、やっと子どもも大学を卒業し、今年社会人になりました。
ちょっと遅いかもしれませんが、ようやく本格的に老後のお金を考えなければと思ってきました。
どんな方法が一番いいかと探していたところ、FPの竹内さんが開催するiDeCoセミナーを見つけ、こんないい制度があるならちょっと話を聞いてみたいと思い、申し込みをしました。

ご相談内容

60歳定年なので、65歳から年金が支給されるまでに、貯金を取り崩して生活をしていかなければなりません。
今のうちに、その5年間のための生活費分をできるだけたくさん貯蓄したいと思っています。
どういう方法がいいのか教えてください。

ご相談でお話しした内容

老後のお金のことで動き出していただけて、本当に良かったです。
iDeCoを、60歳から65歳の年金が支給されるまでのつなぎ年金としてお考えなのですよね?
iDeCoは、税制優遇などがあり、老後の資産形成を考える上でとても有利な方法です。
いい所に気が付いてくださいました。
でも残念ながら、iDeCoは「良い制度だからこそ」いろいろな制限がつけられていて、つなぎの年金としては不十分かもしれません。

セミナーでお伝えしたように、iDeCoは1年間にかけられる金額が決まっていますし、掛金の拠出は60歳までです。つまりこれが制限です。
お客さまの場合、年齢が52歳なので、あと8年間しかこの制度を使うことができないんですね。

なので、厳しいことを言って申し訳ないのですが、今から60歳から65歳までの生活費を、全額iDeCoだけで作っていくのはちょっと難しいと思ってください。
ただね、あきらめてしまってはダメです。まだ大丈夫です!
今から、iDeCoを最大限利用して、残りは別の方法で、お客さまの老後に備えていくための方法を一緒に考えましょう!

60歳からの必要な生活費を考えましょう!

最初に考えることは、60歳から生活費がどれくらいかかるかです。
厚生労働省が出しているモデルケースの場合、一般家庭が必要な生活費は28万円です。
もっとぜいたくがしたいとお考えかもしれませんが、とりあえず28万円で考えていきましょう。
そうすると、60歳から65歳までに必要な生活費は、28万円×12カ月×5年=1,680万円になります。

iDeCoで貯められるお金は?

次に、iDeCoで貯められる金額を見ていきます。
お客さまの場合、会社で企業年金をしていないので、毎月2万3,000円掛金を拠出することができます。
そうすると、iDeCoで拠出できる額面金額は、2万3,000円×12カ月×8年=220万8,000円となります。
さらにこれを仮に2%で運用できたとしたらという計算をしていきたいと思います。
これは、年金終価係数(2%・8年)を使って求めます。
27万6,000円×8.7546=241万6,270円になります。
掛金だけでなく、それを運用してと考えても241万6,270円となります。

iDeCo以外で必要な生活費は?

60歳から65歳までの生活費の総額は、1,680万円。iDeCoで貯められるお金は、241万6,270円。
よって、1,680万円-241万6,270円=1,438万3,730円は、他の方法で用意していきましょう!

iDeCo以外の方法は3つ!

では、iDeCo以外の方法はどんなものがあるのでしょうか?方法は3つあります。

1つ目は、預金を取り崩したり、退職金を取り崩したりする。

お客さまは、今までに預金をいくらか積み立ててこられたと思います。
また、60歳になられたときに、会社から退職金がおありですよね。
この2つを取り崩して、65歳までの生活費に充てることを考えていくことも可能です。

次に考えなければならないのは、年金を受給した後の生活についてです。
厚生労働省のモデルケースを見ると、年金収入は、夫婦合わせて、23万円となっています。
先程、生活費が28万円だと仮定しましたから、これで考えても、年金を受け取るようになっても毎月5万円の赤字になります。
そうなると、退職金やこれまでの預貯金は65歳以降、に使えるようにしておいた方が無難ですよね。

ご自身の年金はおいくらもらえるかご存じでしょうか?
お客さまは52歳なので、ねんきん定期便を見ると、このまま収入が変わらないとすると、ねんきん定期便に書かれた数字が使えますので、まずは、そちらで確認し、お客さまにより近い金額をみていきましょう。

2つ目は、NISAや預金をしたりして、財産を増やしていく。

65歳からの年金生活も赤字の可能性が高いことがわかったので、65歳までの間にできるだけたくさんのお金が貯められるよう、がんばっていきましょう。

まずはNISAです。NISAは投資限度額があります。1年間に120万円は非課税です。
なので、まとまったお金でNISAで増やすこともできます。
NISAも運用益が非課税なので、通常取られる所得税20%がかかりません。
これはメリットですね。

また、2018年からはつみたてNISAも始まります。
つみたてNISAで毎月積み立てをしていくこと(最大年間40万円)もいいかもしれません。

NISAとつみたてNISAは両方はできずどちらか一方ですが、こちらの活用についてはあらためて検討しましょう。

3つ目は、定年後も働いて稼ぐ。

一番おすすめなのは、上の2つをしながら、「働いて稼ぐ」ということです。
お客さまはまだまだお若いですし、60歳になっても元気で働けると思います。
定年後、会社で再雇用契約などありませんか?
あるのであれば、再雇用契約を利用したり、他の会社で働くということをまず考えませんか?
お客さまは、昭和40年生まれなので、60歳から年金を受け取ることはありませんから、年金を受給するために働く金額を制限する必要はありません。
お仕事は定年までと思っていたのに、もう一度働こうとするのは気持ち的には大変かと思いますが、働くことによって、その後の人生にも余裕が生まれてきます。

iDeCoの受け取り方

iDeCoの受け取り方にも注意が必要です。
お客さまは60歳までの加入可能期間が8年弱ですから、iDeCoの受取できるようになるのは60歳ではなく62歳となります。
この時、一時金で受け取る場合と、公的年金として受け取る場合と2種類から受け取り方を選ぶことができます。

一時金で受け取る場合

退職所得控除が使えます。
ただ、他に退職金がある場合、その控除枠がなくなってしまう場合がありますので、実際の退職が近くなった時に、もう一度ご相談いただいた方がいいですね。
ちなみに、一時金で受け取る場合は、お客さまの場合、40万円×8年=320万円が非課税になります。

公的年金控除として受け取る場合

公的年金として分割で受け取る場合、iDeCoの受取金額は、下記の公的年金等の収入額によって、計算されます。

65歳未満

1年間のうち、受取金額が70万円未満の場合は非課税です。

60歳未満 公的年金等の収入額B 控除額
130万円未満 70万円
130万円以上410万円未満 B×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満 B×15%+78.5万円
770以上 B×5%+155.5万円
65歳以上

1年間のうち、受取金額が120万円未満の場合は非課税です。
ただし、65歳からは老齢年金が支給されますので、そちらと合算した金額になるので注意が必要です。

65歳以上 公的年金等の収入額B 控除額
330万円未満 120万円
330万円以上410万円未満 B×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満 B×15%+78.5万円
770以上 B×5%+155.5万円

解決のポイント

残念ながら、iDeCoだけでは60歳から65歳までの十分な生活費は作れません。
でも、だからダメというわけではなく、iDeCoと合わせて他の方法も考えて、老後の資産設計をしていきましょう。
65歳以降のキャッシュフローを考えると、NISAや預金、保険を利用しながら、できれば60歳以降も働いて稼ぐことを念頭に入れた方が良さそうです。
また、受け取り方については公的年金控除枠が使えるので、そちらもうまく使っていくといいですね。
まずは、iDeCoの手続きを始めましょう!

実際の事例を題材としておりますが、個人情報保護の観点から変更を加えている場合があります。

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