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iDeCoは相続争いの救世主となるか?

今回は、ご自身の老後の資金がいくら必要なのかお考えいただきたいなと思います。相続争いでは、自分の老後の資金として、「親の財産」をあてにしていることで起こることもあるからです。

もし、自分の老後が安心して暮らせるとわかれば、「親の相続をあてにして相続争いをするのは、お金もかかるし、時間もかかるし、体力も使うから面倒。自分の老後も安心して暮らせるし、腹は立つけどまあいいか。」という気持ちが生まれてくれたらいいなと思います。譲る心、ゆとりが生まれてくるからです。

まずはご自分の老後の資金を知るということを考えてみましょう!

ご自身の老後の資金はいくらあるのか知っていますか?

老後資金のメインは年金

経営者の方でない限り、大半の方は年金をベースに老後資金を考えます

では、年金見込額はどうやって知ったらいいのか?
それは、毎年、皆さんに送られてくる「ねんきん定期便」を見ればわかります。
年金は、3階建て構造になっていて、1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」の部分が、「ねんきん定期便」に記載されています。

また、ねんきん定期便には2種類あり、「50歳以上」の方と「50歳未満」の方で書いてある内容が違います。

「50歳以上」の方のねんきん定期便

50歳以上のねんきん定期便は、「1. これまでの年金加入期間」と「2. 老齢年金の見込額」が記載されています。

  1. これまでの年金加入期間
    国民年金に何年加入していて、厚生年金に何年加入していたのかがわかります。
  2. 老齢年金の見込額
    このまま同様に60歳まで年金を払い続けていたら、自分が何歳からいくら年金がもらえるのかがわかります。

50歳以上の方は、役職定年や出向などが考えられます。
なので、そういうことを見越して、ここに書かれている金額がMAXと考えた方がいいでしょう。

「50歳未満」のねんきん定期便

50歳未満のねんきん定期便は、「1. これまでの年金加入期間」と「2. これまでの加入実績に応じた年金額(年額)」が記載されています。

  1. これまでの年金加入期間
    これまで国民年金に何年加入していて、厚生年金に何年加入していて、さらに国民年金の任意加入期間のうち保険料を納めていない期間が何年で、合算して今、どれだけの期間加入していたかを知る事ができます。
  2. これまでの加入実績に応じた年金額(年額)
    国民年金と厚生年金おのおのについて、今まで年金を納めてきた分のうち、もらえる年金額がわかります。

これはどういうことかと言うと、老齢年金を知りたかったら、今から60歳まで働いた金額については、自分で計算をしなければならないと言うことです。

「50歳未満」の方の今から60歳までの老齢年金見込額の計算方法

まず、老齢基礎年金(国民年金)老齢厚生年金(厚生年金)と分けて考えます。

現在30歳、定年までの平均年収500万円の人の計算例

例えば、「現在30歳、定年までの平均年収500万円の人がいると想定」して考えてみましょう。

  1. 老齢基礎年金(国民年金)
    公式:満額老齢基礎年金(平成29年度:779,300円)÷480×今後の加入見込み月数
    779,300円÷480×30年×12ヶ月=584,475円
    となります。
  2. 老齢厚生年金(厚生年金)
    公式:平均年収見込額÷12×5.481÷1000×今後の加入見込み月数
    500万円÷12×5.481÷1000×30年×12ヶ月=822,149円
    となります。
  3. 今から60歳までの老齢年金見込額
    老齢基礎年金+老齢厚生年金
    584,475円+822,149円=1,406,624円
    これが、今後働いて増やせる老齢年金の金額です。
  4. 65歳から受け取ることができる年金見込額
    仮に、上記3の30歳までの加入実績に応じた年金額が24万円だったとすると、
    24万円+今から60歳までの老齢年金見込額=1,646,624円 → 約164万円となります。
    よって、65歳になってから受け取れる年金見込額が、年間164万円となります。月々の年金額は、13万6,000円となります。

注意点としては、厚生年金基金などに加入している人は、厚生年金基金分の金額は反映されていません。
厚生年金基金部分については、厚生年金基金に確認をしてください。

色々と計算をしてきましたが、おわかりになりましたでしょうか?
もし、計算が苦手と言う方は、日本年金機構のねんきんネットで金額を知る事ができます。
登録しておくと便利ですよ。

年金は十分ですか?

厚生労働省は、会社員の夫(平均年収が500万円くらいで40年働く)と妻が専業主婦の場合をモデルケースとして、年金収入を約23万円としています。
一方、支出はどうかというと、総務省が発表する「年金で暮らす一般家庭の支出」は、月額約28万円です。生命保険文化センターが発表する「ゆとりある暮らしに必要な金額」は、月額約38万円です。
この収入と支出との差額を自助努力で何とか埋めていけたら安心できますね。
元気なうちに、その差額部分を貯めていけばいいのです。

その自助努力の方法として、

  1. 預金
  2. 確定拠出年金
  3. 保険
  4. 賃金
  5. 家賃収入や配当金

などの所得があります。

この中で、確定拠出年金は国が税制優遇をしています。
そういう制度をうまく活用して、差額部分を埋められるといいです。

受給資格期間を10年に変更

今年度の年金制度改革のうちの1つで、今月から(2017年8月)、年金の受給資格期間を短縮するという動きがありました。
これはどういうことかというと、今までは、老齢年金を受給するためには、保険料納付期間(免除や猶予も含む)が25年必要でした。
つまり、25年間年金を納めていない人は、年金保険料を払っていたとしても1円ももらうことができませんでした。
ところが、その受給資格期間を10年にしたので、10年から25年未満年金を支払っていた人が年金をもらえるようになったのです。
金額は少ないけれど、より多くの人が年金をもらえるような仕組みにしたということです。
これは喜ばしいことです。
どうせ年金なんてもらえないと思っていた方が、これだけもらえるなら、もう少し頑張ってみようと言う気を起こしてもらえたら、うれしいです。

これからの年金がわかったら

老後の生活にお金がいくらかかるのかわからないから、不安になります。
でも、老後の生活のベースとなる年金の金額がわかったら、あとどれくらいお金を作ればいいのかがわかります。
まずは、「わからないことを知る事によって、不安を安心に変えてあげる」、そしてこころの余裕が生まれたら、親の相続をあてにしなくなり、争族を避けることができますね。